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主人公は、小さい頃から人には見えないものを見ることがあった。 しかし、たった一人の家族である母の言いつけを守り、 誰にも言わずに生活していた。 ある雨の夜、部屋の窓から外を眺めていると、 傘も差さずに通りを歩く人の姿を見つけた。 その人は、三日前に亡くなったはずの母によく似ていた。 ――雨の夜に、死んだ人が帰ってくる。 母の葬式で聞いた噂話。 まさかと思いつつも家を出て母の姿を追うと、 そこに居たのは一人の妖の青年だった。 「お迎えにあがりました」 父方の祖父の家で働いているというその青年は、 そう言って彼女の前に跪いた。